拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
友人たちと一緒に騒いだりしている姿が想像つかず、つい、須藤さんの顔をジーっと見つめてしまう。

「何だよ」

「須藤さんの学生時代ってどんな感じだったのかな、と思いまして」

「楽しかったよ。お酒飲むことも多かったけど、ちゃんと食べたいなって時はここに来ることも多かったかな」

デートで、だろうか。
一体何人の女性がこのお店に連れてきてもらったのか・・・

決してとっかえひっかえ女を変えてる、というイメージではないが、この見た目ならさぞかしモテたのだろう、と思う。
現に今だって、付き合っているかどうかは不明だが、梅田さんは確実に須藤さんべったりだ。

「梅田さんもここに来たことあるんですか?」

「は?」

梅田さんのことを考えてたら、つい口に出てしまったが・・・今更後に引けない・・。

「来てないけど。何で?」

「いや、何で、ってことないですけど。お二人でいつもどんなところに出かけてるのかな、と・・・・」

すると、チッと舌打ちした後、ここに連れてきたことないから、と低い声で言った。
何だか・・・余計なことを言ってしまった。機嫌を損ねてしまったようだ。

「お前こそ、どうなんだよ、木村の同期」

「中澤君、ですよね。別に何も」

「会ってないの?」

そう聞かれて、嘘をつくこともないと思い正直に言った。

「先週食事に行きました」

「先週?土曜日?」

何で土曜日だとわかったのだろうか、と一瞬びっくりしたが、そうだ、確か先週、須藤さんに土曜日の予定を聞かれたとき、先約がある、と答えたのだった。

「そ、そうですね。土曜日です」

「どこ行ったの?」

これも、隠す必要がないと思い・・・一緒に出掛けた場所を言った。

「中澤と付き合うことにしたの?」

「付き合いませんよ」

「告られたんだろう?」

「・・・・」

「付き合ってもないのに、海でデートして、夜景のきれいなレストランで食事して、次は映画を観る約束したんだろ?」

「・・・約束してません」

「デートはしたんだよな」

「付き合ってる人としか食事行っちゃいけないなら、もう行きません。誰とも」

須藤さんとも・・・、と心の中で付け加える。

「ったく、何でお前ってそうなの?可愛げがない」

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