拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
袋の中を見ると、透明な容器に入ったプリンのようなスイーツが入っていた。

「美味しそう!ありがとうございます。」

思わず声を上げると、どういたしまして、とポン、と頭に手を置かれた。

「ランチもコース出してくれるんだ。美味しいからまた今度来よう」

今度・・・また一緒に来ていいのだろうか
中澤君と一緒に出掛けたことはかなり気にしていたようだが・・・

曖昧に頷くと、ん?と顔を覗き込まれたが、また来たいです、と言うと、ニコっと笑い、車を出した。

家の前まで送ってもらうと、急に誘って悪かったな、と言われ、慌てて挨拶する。

「こちらこそ。とても美味しかったです。ありがとうございました」

悪かったな、なんてとんでもない。
一日暇をしていただけだ。あんなに美味しい食事をご馳走してくれるなんて、逆にこちらのほうが申し訳ない。

「あの、デザートまでありがとうございます」

「おう。家入って。危ないから」

危ないといってもまだ9時にもなっていない。
もう一度お礼を言い、急いで部屋の中に入ると、車が発進する音が聞こえた。

到着するころを見計らって、改めてお礼のメッセージを送ると、すぐ返信があり、ちょうど着いたところだったようだ。

まさか、須藤さんと休日二人で出かける日がくるなんて思いもよらなかった。
想像以上にリラックスできたし、楽しい時間だった。

翌週の月曜日、経企に用事がありフロアに向かうと、須藤さんに呼び止められて、席まで連れていかれた。

「後で行こうと思ってたんだ。これ、忘れただろう」

「あ、ありがとうございます。探してました」

今朝からカードケースが見つからず探していたのだ。
土曜日、須藤さんが連れて行ってくれたレストランから帰るとき、お茶を買うために出してそれを車の中に置き忘れてしまったらしい。

「ごめんな、すぐ気づけばよかったんだけど、今朝、たまたま車に荷物取りに行ったら見つけたんだ」

「いえ、私の方こそすみません。土曜日もありがとうございました。美味しかったです」

「おう。またな」

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