拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
「・・・・・」
中澤君のことに対して今は恋愛感情はないが、一緒にいればもしかしたら好きになるかもしれない、とは思う。
だけど、私は彼氏がどうしてもほしい、とは思っていない。
そんな曖昧な感情のまま付き合うことが良いとは思えなかったため、中澤君には返事をしていない。
話は変わりますが、と木村君が続けて言った。
「俺が引継いだ経企部の案件について、昨日の打合せの時に佐多さんのこと聞かれたんです」
「・・・うん」
「何かあったんですか?」
「・・・システム開発部の時、須藤さんにお世話になって・・・。教育係の人が別にいたんだけど、須藤さんも割と面倒見てくれてて、結構頼ってた時期があったの。その癖が抜けてなかったな、って反省したの。今はあの頃とはやってることも、担当も違うし。だから役割分担見直して、マネージャーにも了承してもらって木村君に引き継いだんだけど、何か問題あった?」
「別に問題とかじゃないけど、心配してて、柴田さんが。あと須藤さんも」
「・・・昨日、須藤さんに、木村君に途中の案件押し付けるなんて、私らしくないって言われたの。だけど、私は押し付けたんじゃなくて、このままじゃ良くないと思って、敢えて木村君にお願いしたのに、それを私らしくないって言われて、よくわからなくなっちゃって・・・」
「うん」
「私は、経企部の須藤さんや柴田さんに、案出しして、それに意見もらって、お互いに意見出し合って作り上げてるつもりだったけど、周りからはいつまでも先輩に頼ってるって見られてることがわかったから、このままじゃ良くないって思ったのに・・・。」
「うん」
「須藤さんに『お前らしくない』って言われて、私は、周りに先輩達に指示されたことだけやるのが、私らしいってことなのかなって思ったら、つい、感情的になっちゃって、須藤さんとそれ以上話できなかったの」
「そっか」
「・・・ごめんなさい」
「え?何謝ってんの。俺に謝ることなんて何もないでしょ」
「でも、色々言われたんでしょ?」
「違うよ。言われたのは、佐多さんに何で避けられてるのかわからないって、先輩方が」
「・・・・・」
「・・・どうして避けたの?」
「・・・周りの目が気になるから」
「周りって?」
「・・・・」
「梅田さん?」