拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
しかし、冷静に考えれば、眠っている私を置いて先に帰るのも差しさわりがあるし・・・あのまま一緒に寝るのは当然なのか・・・

どうしよう。
起こさないようにシャワーを浴びて、メモでもおいて先に帰ろう。
幸い今日は土曜日だし、仕事はない。

ソロソロとベッドがから出ようとすると、どうした?と須藤さんの掠れた声が聞こえた。起こしてしまったようだ。

「あ、あの、すみません。シャワーを借りようかと・・・」

「今何時?」

「5時過ぎです」

カバンの横に置きっぱなしになっていたスマホを確認しながら時間を言うと、まだ早いな、と言いながら、私の腕を引きながら

「もう少し寝てろよ」

そう言って抱きしめてきた。

昨日の夜はお酒の力もあり、思う存分須藤さんにくっついていたが、すっかりお酒が抜けた今は緊張するし、照れくさいし、一緒にいるには限界だ。

「すみません、シャワー行きたいです」

「・・・謝ることないけど。体調平気?」

そう言って離してくれたため、大丈夫です、と言ってシャワーを浴びにバスルームへ行く。

少し時間は早いが、これ以上須藤さんと一緒にいるのはかなりつらい。
服を着て、軽くメイクをして部屋に戻ると、須藤さんは起きていて、ソファでスマホを見ながらタバコを吸っていた。

「そろそろ、帰りますね」

「・・・もう少し、ゆっくりしろよ」

「でも・・・」

「予定あるの?」

「・・・いえ。でも・・・」

「じゃあ、俺も一緒に出る」

そういって服を着始める。
恐らくシャワーは私が眠ってしまっている間に済ませたのだろう。

もう少しゆっくりしてくれてもいいのに・・・私のわがままで申し訳なくなってくるが、私はここにいても落ちつかない。
早く自分の部屋で休みたかった。

チェックアウトして外に出ると駅が目の前だった。
一緒に電車に乗り並んで座る。辺りはまだ薄暗く、朝帰りのこの時間に一緒にいることが気まずいというか、恥ずかしい。
殆ど会話もなく、最寄りの駅に着くと、須藤さんも一緒に降りてきた。

もう明るいし、大丈夫なのに・・・と心の中で思うが、もう少し一緒にいたいという気持ちもあり、言い出せず家までの道を一緒に歩く。

ホテルにいた時は緊張のあまり、すぐにでも離れたかったのに、いざお別れとなると、名残遅くなる。

コンビニの前に着き、足をとめ、須藤さんに向き合う。

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