拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
困惑
週明け、先週ほどではないが、仕事が推しているため昼休みを取る間もないほど時間がない。
ようやくお昼にありつけたのは13時半を過ぎたころだった。
デスクで食べるのを気が引けたため、リフレッシュルームへいって、おにぎりを食べながらスマホを見ていると、企画部の女性たちの話声が聞こえてきた。
「部長と話しているのが聞こえたんだけど、そろそろ身を固めろってうるさく親に言われたって」
「え~、その相手が梅田さんってこと?」
「梅田さんって、常務の知り合いだか親戚なんでしょ?元々そのつもりで経企に配属だったって聞いたよ」
「だから『公認の仲』なんじゃない?」
・・・・・身を固めるって、結婚ってことだよね・・・。
なるほど。そういうことか。結婚前のお遊びに後輩にちょっかいを出した、ということか。
何だかなあ、と、はあ、とため息をつく。
学生の時から思っていたが、同じ大学や会社、いわゆる近場で手をだして、もめ事になるのは煩わしくないのだろうか。
それとも、相手が私なら黙っていそうだ、と、侮られているのだろうか。
きっとそうだろう。
学生時代の何回かと牧野君で懲りただろうに・・・。また同じことを繰り返してしまった。
しかし、須藤さんとのあの一夜は自分で決めたのだ。
たとえ1回きりでもいい、と、自分から望んだのだ。
恨みつらみを言うのは筋違いだ。
須藤さんにてしても、私とはもう関わりたくないだろう。
私だってこれ以上は傷つきたくない。出来る限り距離を置くに越したことはない。
幸いにして、今の業務ではほとんど関りがない。
気を遣っているのか、たまに携帯にメッセージが来るが、当たり障りのない返信をしていればいいだろう。
また尊敬する先輩に戻るだけだ。
辛くないといえばウソになるが、私さえ未練がましくしなければきっとうまくいく。
あれから2週間、何度か食事のお誘いがあったが、残業や、予定があるなどの理由で断っている。行けそうなときに連絡してくれ、と言ってくれているが、お気遣いいただかなくても大丈夫だ、と返信し、それっきりになっている。