拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
1LDKだろうか、私の部屋のちょうど倍くらいのリビングと、奥は寝室にしていると思われる個室がついている。キッチンも広々としていて使いやすそうだが、あまり使っている様子はない。

適当に座って、と言われて、先ほどコンビニで買ったものを袋から出しながら、恐る恐るソファに腰かける。

上着とネクタイを取った須藤さんが、洗面所あっち、と教えてくれたため、手を洗ってからリビングに戻る。
全体的に物が少なくて、過ごしやすい部屋だ。
洗面回りも必要最小限の物しか置いていない。

「広いですね。私の部屋の倍以上です」

そうなの?と言いながら、私の横にぴったりと座る。

さすがにちょっと近すぎじゃないかと、少しずれると、苦笑いして缶ビールをプシュッと開けて一口飲んだ。

「何で避けてた?」

ちゃんと話したほうがいいだろうか。
この先のことがちゃんと見えていたほうが、お互いのためだろう。

さっきは後で送る、と言ってくれていたが、ビールを飲んだということは、送ってくれるか怪しいものだ。
この前のように、なし崩し的に押し倒されるのだろうか。須藤さんにとっては計画的かもしれないが・・・

「傷が浅い方がいいと思ったからです。後、何回くらいですか?」

「・・・何回?」

「回数だとわかりにくいですかね。あと何か月ですか?」

「・・・何が?」

「結婚、するんですよね?いつですか?」

「・・・誰が?」

「須藤さんが、です。それまでってことですよね、私」

「・・・・・」

「・・・・・」

「何回、って何?」

「須藤さんが結婚するまで、あと何回くらいこうやって呼ばれるのかなって思って・・・」

・・・・・

数秒、無言のまま険しい顔をしていたと思ったら、すごい力で腕を掴んできた。

「い、痛っ・・」

思わず声を漏らすと、驚いた顔をして、サッと力を緩めてくれるが、顔は怒ったままだ。ものすごく・・・怒っている。こんな顔見たのは初めてだ。

「何でそうなる。何で俺が結婚することになってるんだ。お前は俺が結婚するまでの間の遊び相手だと、そう言いたいのか?」

その通りだ。そしてその結婚相手は梅田さんだと噂されている。
私が曖昧に頷くのを見ると、吐き捨てるように、はあ、とため息をついた。

「俺を何だと思ってる!お前は俺のことをそんな最低な奴だと思ってたのか」

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