拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
すごい。。。同期がお父さんになるなんて・・・。まだまだ学生気分が抜けなかった研修期間がついこの前のことのようなのに。
先月のはじめ、元気な男の子が生まれたとのことだ。ニコニコと笑っている浦橋くんはとても幸せそうだ。
先ほど皆に囲まれていたのも、もしかしたらその話で盛り上がっていたのかもしれない。

そんな話をしていたら、スマホに着信があり取り出してみると須藤さんからだ。

「今どこ?」

「お店の前だよ」

「あ、いた」

そう言うと、ブチっと通話が切れて、後ろから頭をポン、とされる。

「わ、来てくれたんですか?」

「おう。会社出たらすぐ、お前も終わったって連絡きたから」

だからって遠回りなのに。家で待っててくれた方が楽なはずだ。

迎えに来てくれたことが思いの他嬉しくて、思わず腕を掴むと、その上から私の手を包んで、優しく笑ってくれた。

「こんばんは」

浦橋くんが須藤さんに挨拶をすると、須藤さんも、こんばんは、お久しぶり、と浦橋くんに挨拶してる。
やはり覚えていたのだろう。

「須藤さん、でしたよね。あの頃はめっちゃ余裕かましてたのに、なんか親近感湧きました」

浦橋くんが、ククっと笑いながら言うと、須藤さんは苦み潰したような顔をして、うっせ、と浦橋くんに小さく言い返した。

じゃあ、俺らはこれで、と須藤さんが言ったタイミングで、私も他の同期に挨拶して帰ることにする。

浦橋くんにも手を振ると、ニコっと笑ってヒラヒラっと手を振り返してくれた。

「アイツ、来ないって言ってなかった?」

「こっちで仕事だったみたいです。赤ちゃん生まれたばかりで奥さん大変だから、二次会行かないで帰るって言ってました」

「へえ、アイツ結婚したんだ」

「はい。結構前ですよ」

じゃあ、大丈夫かな、と小さく言ったのが聞こえたが、どういう意味か分からず、聞き返さなかった。

「お前さ、今のお前の部屋っていつから住んでるの?」

「3年ちょっとですかね」

システム開発部に配属された後に実家から出て今の部屋で一人暮らしを始めたため、早いものでもう3年だ。2年更新なので・・・そろそろ2度目の更新だ。

「今の最寄り駅とか、拘りあるの?」

「特にないですけど・・・・、通勤圏内30分以内で実家からも30分くらいのところで探しました」

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