拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
仕事で関わることが嬉しくて、あわよくば仕事以外でも会いたいと思うようになっている。
そんな思いが態度に出ているのだろうか。
最近恋人である彼女と上手くいっていない。
一緒に住んでいるのにも関わらず、すれ違いが続いてもう長い。
・・そろそろはっきりさせないと。

あの子は俺にほとんど笑顔を見せない。

会話のほぼ100%近く、仕事の話しかしないのだから仕方がないのだが
これだけの時間一緒に仕事をすれば、多少なりともプライベートの話にもなるだろう、とは思う。
取引のあるベンダの女子とだって、少なからず、ある。
しかしながら、あの子は全く俺に何も聞いてこない。
俺のほうから、同期の話など振ってみるが、全くもって続かない。

俺よりも一緒にいる時間が長いであろう、教育係の吉田にそれとなく聞いてみるが
言われてみればプライベートな話は殆どないかも、と言っていたので
俺だけじゃないのか、と少しホッとする。

同期の西田和美や元カレと思われる浦橋という男と話している姿を何度か見かけるが、俺には見せたことのない、柔らかい顔をしているのが、寂しいというか、悔しいというか・・・・

ただ・・・何故、寂しい、とか、悔しい、とか、そういう思いが湧き上がってくるのか、ということはあえて考えないようにしていた。

長年付き合っていた恋人と別れるとき、少しだけ言い合いになった。というか、一方的に言われた。
4つも年下の俺と付き合うことを、当初はかなり躊躇していた彼女だったが、情熱的に俺から口説かれやっと落ちたのだった。それなのに・・随分寂しい思いをしてきた、という。一時期、仕事のことしか考えられず、家に帰れば彼女が待っていことに安心しきってしまい、ますます仕事に没頭した。
何年か経ち、自分に自信が持てるようになったころ、仕事のペースは落ち着いてきたが、その頃にあの子が現れた。
俺の心の変化に敏感に気づいた彼女は寂しさを外で埋めるようになった。

俺すら、自分の気持ちに気づいていなかったのに・・・
今の恋人と出会ったときは、好きだという気持ちに気づくのに時間はかからなかった。すぐに夢中になった。

満里子に対しては・・・全くそういう感じではなかったのだ。
ジワリジワリと俺の心に浸透してきて・・・気づいたら四六時中あの子のことを考えていた。

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