拗らせ片想い～理系女子の恋愛模様

つい、本音で返してしまった・・・。
すると、ニヤッと、笑い、

「よろしくお願いしますね。失敗しないように」

と言った後、俺みたいに、というのが聞こえた・・・。

やはり。満里子に仕掛けた経験ありか・・・。
こんな男でも、失敗したのか。一体何をやらかしたのだろう。
とてつもなく気になるが、仕方がない。
俺のやり方でやるしかない。

時間をかけるつもりが、もう、限界だった。

休日デートをしてみたくて、意を決して週末誘ってってみるが、予定が入っていると断られてしまった。

途端に嫌な予感がするが、ここで問い詰めても大人げないと思い、一旦引くしかない。
思い当たるのは木村の同期の中澤か・・・なかなかの行動力だ。

翌週の打ち合わせの時、柴田と木村のの会話でひょんなことから満里子の話になり、中澤が満里子に夢中なのだ、という話を聞き、のんびりしていられない、と即行動を起こす。

その週はやたらと忙しく、金曜日のうちに連絡ができなかった。
土曜日も外せない用事が午前中にあり、結局満里子に連絡ができたのは午後になってからだ。
急な誘いでも快く応じてくれて、満里子に喜んでもらいたくて、昔馴染みのレストランに連れて行く。

明るいベージュのカットソーに同系色のスカートを履き、ロングヘアも下ろしたままでいつもとスーツが多い彼女と雰囲気がかなり違う。
可愛い・・・思わず抱き寄せたくなるが、助手席にどうぞ、とエスコートしようとするが、俺の服装を見て着替えに戻ろうとする。
午前中に親戚の集まりがあり、少しばかり畏まった格好をしていたせいだろう。
しかし、こんな可愛いのに、着替る必要なんて全くない。

この車は兄貴が新車を買うために2か月までに譲り受けたものだ。この車だってまだ2年しか乗っていない。
手続きを終えて、ようやく乗り始めたところだ。

ところが満里子は、この車の助手席に乗ることに遠慮しているようだ。
恋人はいないのか、気にしている。
随分前に別れたことは伝えたら驚いてはいたが・・・ここ最近必死に距離を詰めているのだが、やはり気づいていないのか。
俺は、満里子が乗ってくれて浮かれてると言うのに。