拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
知った顔を見たせいか、緊張マックスだった気持ちが少しほぐれた気がする。浦橋くん何階になるんだろう。近いほうが何かと心強い。

ドアのところにおいてある座席表の「受付」と書いてある内線番号を押すと、「情シス開発部です」と男性の声が聞こえてきた。

「新入社員の佐多と申します」

「あ、はい、少々お待ちください。今行きますね」

間を置かずに顔を出した男性は、私より4~5歳程度上だろうか。若いわりに落ち着いたいイメージの男性だ。

「佐多さん、ですよね。どうぞ入って」

「ありがとうございます。失礼します」

「今日中に入室申請しておきますので、次回来るときは社員証かざせば入れますので。今日は出入りるときは少々不便ですが、誰か呼んでください。」

「わかりました」

「僕は4部門の須藤です。佐多さんは隣の3部門になりますのでここに座って待っててください。すぐに佐多さんの上司と教育係が来ますので。」

「はい。ありがとうございます」

打合せスペースのようなところを案内されて座るように促される。首から下げているカードを見ると、『須藤正義』と見えた。須藤さんが私の教育係だと思ってが、部門も違うらしい。わざわざセキュリティを開けてくれるためだけに来てくれたようだ。

殆ど待つこともなく、男性二人がスタスタとやってくるのが見えたので、慌てて立ち上がると、お待たせしてごめんなさいね、と上司らしき人から声をかけられた。
名前を名乗りお辞儀をすると、二人が順番に自己紹介をしてくれた。

ひょろりと背の高く、30代後半から40代前半くらいだろうか。直属の上司になる稲石課長。稲石課長よりやや低く、比較的ガッチリした体系の吉田先輩。私より2次上で教育係をしてくれるらしい。想像はしていたがやはり教育係は男性だ。私が配属される3部門には女性の先輩はおらず、私だけだ。システム開発部全体で100名近くいる中で女性は7人だけとのとこと。極端に少ない・・。ただ隣の設計部には30人程度の女性がいるとのことで、関りも多いし、あまり不安がらないで、と微笑みながら言われる。

全体的な組織の説明の後は、具体的な業務の話になり、最初はシステムの全体像を知るためにも、最終工程部分であるプログラミングを担当してもらう場合もあるとの説明を受ける。詳細は来週配属になってから、と、まずは朝礼で挨拶することになった。

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