40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで
俺は急いで、床に散らばった服をかき集めて着替えた。

もし俺の予想が当たっていたとしたら……恩師の娘に手を出したことになる。
こんなこと、ケビンに知られたら……俺はケビンに嫌われるかもしれない。

確認しておけば良かったのかもしれない。
でも、俺にはそんな勇気はなかった。
もう、すでに日は上がっていた。
チケットは、すでに昨日の時点で貰っている。
俺の荷物は、結局パスポートと財布と……唯一ハワイでの購入品になったあのお守りだけ。

冷静に考えてみれば、挨拶もせずに逃げるのは卑怯者がすることだ。
だけど、冷静になどなれなかったのだ。
どうしても。

俺は、まだ眠っている親子にさよならも告げずに、日本へと逃げた。
< 182 / 229 >

この作品をシェア

pagetop