40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで
それからの俺は、実家の病院に戻り、再び救命医として忙しい日々を過ごしていた。
ただ、自分で判断する業務……特にトリアージは……俺の判断では出来なくなっていたので、俺は言われたことをする仕事に専念することができた。
実家の病院では、それが許されたから。

この時期、黒い何かを見ては、当時を思い出しては……胸が苦しくなってしまうようになっていた。
それでも、医師としての仕事は、深呼吸さえすれば、一通りはこなせるようになるところまでは、どうにか自分を戻すことができた。

それは、あのハワイでの出来事と、その後に貰ったケビンからのメッセージがあったから。

【君は、1人じゃない。奇跡は、必ず起きる】

俺は一言だけ、ありがとうとだけ返した。
それ以来、向こうからの連絡が途絶えてしまった。
俺は、自分勝手だと分かっていながらも、寂しさを感じていた。
でも、俺は自分からは近況を聞けずにいた。

それもまた、俺の選択ミスであったと、後で思い知ることになるのだが。
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