40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで
「そろそろ、身を固めてくれないか?」

両親から、見合いの話が出たのは、ハワイから帰国し、実家の病院で勤め始めてから2年目の春。
製薬会社の令嬢で、SNSのインフルエンサーとしての活動もしているらしい。
すでに相手からは、俺との結婚を本格的に進めたいと連絡があったらしい。
この時の俺は、結婚どころか、女性と付き合うことにすら、興味は無くなっていた。
そして、俺の人生は、元々親が決めた道を歩くために造られたものであるという自覚も……やっぱりまだどこかにあった。

1度は、自分の思う通りの選択をしてみようと頑張った時期もあった。
けれど、それによって死人が出た。
それだけではなく、失いたくなかったはずの絆を、自分の選択によって断ち切った。

(俺が選択することでは、結局誰も幸せにはならない。それならばいっそ、誰かに俺の人生を選択してもらいたい)

そうして俺は、令嬢との見合い結婚を、最終的に承諾することにした。
しかし、これが隠れていた真実が無理やり暴かれてしまうきっかけとなってしまった。
俺ですら、まだ知らない悲しい真実の。
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