40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで
それが見合いの相手から届いたのは、それから数ヶ月後。
すでに結婚式まで、あとわずかという日だった。

「どういうことだ、樹!!」

仕事中、急に怒鳴り込んできた父親の剣幕は、俺が初めて見るようなものだった。
面倒だと思いながらも、着実に結婚式や新居の準備をこなしていた。
そんな時期だったにも関わらず、急に相手から

「婚約はなかったことにして欲しい」

と言われたらしい。
その原因として、渡されたのが興信所の封筒だったとのこと。

「見てみろ」

特に悪いことをするような心当たりもなかったが、父親に言われたので仕方がなく中身を見た。

そして、目を疑った。
そこには、こう書かれていた。

氷室樹には、ハワイに隠し子がいる。
名前はマナ・桜・ミラー。
母の名は、マオ・ミラー。

俺は、甘くて酔いそうになる、ココナッツの香りを思い出してしまった。
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