40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで
「本当に、すまなかった……イツキ……」

前会った時よりも、ずっと白髪が増えてしまったケビンに、頭を下げられた。

「こんなこと、すまないでは済まされない」

と、俺は言いたかった。
怒鳴りつけたかった。
過去の身勝手さを棚に上げてでも。
だけど……言えなかった。
とても、言えるような状況じゃなかった。

俺が数年ぶりに訪れたハワイは、景色も街並みも変わらなかった。
だけど、俺が最も長く見ていた景色だけが、がらりと変わっていた。
リビングには、ケビンのような笑顔を持つ小さな女の子が、絵本を読んでいた。
その一角には、小さな祭壇のようなものが作られていた。
マイタイが置かれている横に、写真立てが2つ。
1つは、ケビンの奥さんである日本人の女性。
そしてもう1つは、いつもマイタイを楽しそうに飲んでいた、マオだった。
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