40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで
さっきまでの怠さが、いつの間にか消えていた。
ここでかき氷を食べ、氷室さんと少し会話をしている内に。
もしも、あのまま1人で帰っていたとしたら、無事に帰れていなかったかもしれない。
下手したら、途中で倒れていたかもしれない。
(氷室さんに、お礼言わなきゃ)
そう思って、氷室さんに顔を向けると、何やら氷室さんはメニューをじっと見ていた。
(一体、何を見ているんだろう……?)
そっと、覗き込むと、2種類のクリームソーダの写真が載っていた。
(すっごい可愛い……!)
クリームソーダという存在は、透明なガラスに、キラキラ光るグリーンのソーダ水が注がれ、白くて丸いアイスがちょこんと浮かび、チェリーが飾られるという、一般的に知られているものでさえ、フォトジェニック的な可愛さがある。
だけど、この店のものはそれだけではない。
なんと、アイスが動物の形になっていたのだ……!
ソーダ水はグリーンとブルーの2色。
浮かぶアイスは、くまさんとパンダさんの2種類。
もちろん、チェリーはついている。
(写真撮って、SNS用に加工して載せたいな……)
私はWebデザイナーの勉強の一環で写真加工ソフトの使い方を覚えると、すぐ写真加工の魅力に夢中になった。
オシャレなスイーツがあるカフェやレストランに来た時に、スマホで数枚食べ物を撮影し、家で加工してからSNSでアップすることが、いつしか趣味になっていた。
SNS自体は、自分で楽しむためだけにアカウントを作った。
特に親や友人に知らせていたわけではなかった。
だけど、作った写真をコツコツアップロードしていく内にに、いつの間にかフォロワーが増えていた。
「楽しみにしてます」
というメッセージまで貰うようになった。
そんな私なのに、先ほど食べたかき氷は、緊張のあまり写真を撮り忘れてしまった。
とても、惜しいことをした……。
(せっかくだから、頼もうかな……でも……)
ちらと、氷室さんを見る。
(私が1杯分飲む時間まで、この人の時間を拘束するのは申し訳ない)
諦めようとしたが、ふと気になった。
氷室さんはまだ、じっとメニューを見ている。
「どうしました?」
「え?」
「ずっと、メニューを見ていらっしゃるから……」
「……何でもないです」
(何でもないのに、あんなにメニューを凝視するのか……?)
私がもしメニューを凝視してしまうとしたら?
それは、そのメニューの商品が気になって仕方がない時。
(まさか……いくらなんでも、私と氷室さんが同じ思考とは、限らないだろう……)
「森山さん、最後ドリンク頼みますか?」
氷室さんの方から、提案をしてくれた。
「はい!ぜひ!クリームソーダが飲みたいと思っていたんです」
「そうですか。では頼みましょう」
「氷室さんは、何飲みますか?」
「俺は……ブラックで……」
(コーヒーのメニュー、見てないのに……?)
氷室さんは、ずっとクリームソーダのページばかりを見ていた。
本当は、クリームソーダを頼みたいのではないだろうか……。
私はお節介にも、そう考えてしまった。
「クリームソーダじゃなくて良いんですか?」
と、聞いてしまうのが、1番簡単かもしれない。
だけど……。
「あの、氷室さん。実はお願いが……」
「お願い?」
「実は私、グラフィックとかWEBのデザイナーで、SNS用写真加工の勉強してるんですけど……」
これは本当。
嘘に本物を混ぜれば、限りなく本当になる。
「このクリームソーダ2つある様子、写真撮りたいんですよ」
これは、半分は嘘。
2種類並べると綺麗だろうな、と思うけれど無理に頼まなくてもいい。
「でも、私さすがに2つは飲めないかなと……」
これは、嘘。
普通に飲み切れると思う。
「よければ1つ、貰ってくれませんか?」
ここでかき氷を食べ、氷室さんと少し会話をしている内に。
もしも、あのまま1人で帰っていたとしたら、無事に帰れていなかったかもしれない。
下手したら、途中で倒れていたかもしれない。
(氷室さんに、お礼言わなきゃ)
そう思って、氷室さんに顔を向けると、何やら氷室さんはメニューをじっと見ていた。
(一体、何を見ているんだろう……?)
そっと、覗き込むと、2種類のクリームソーダの写真が載っていた。
(すっごい可愛い……!)
クリームソーダという存在は、透明なガラスに、キラキラ光るグリーンのソーダ水が注がれ、白くて丸いアイスがちょこんと浮かび、チェリーが飾られるという、一般的に知られているものでさえ、フォトジェニック的な可愛さがある。
だけど、この店のものはそれだけではない。
なんと、アイスが動物の形になっていたのだ……!
ソーダ水はグリーンとブルーの2色。
浮かぶアイスは、くまさんとパンダさんの2種類。
もちろん、チェリーはついている。
(写真撮って、SNS用に加工して載せたいな……)
私はWebデザイナーの勉強の一環で写真加工ソフトの使い方を覚えると、すぐ写真加工の魅力に夢中になった。
オシャレなスイーツがあるカフェやレストランに来た時に、スマホで数枚食べ物を撮影し、家で加工してからSNSでアップすることが、いつしか趣味になっていた。
SNS自体は、自分で楽しむためだけにアカウントを作った。
特に親や友人に知らせていたわけではなかった。
だけど、作った写真をコツコツアップロードしていく内にに、いつの間にかフォロワーが増えていた。
「楽しみにしてます」
というメッセージまで貰うようになった。
そんな私なのに、先ほど食べたかき氷は、緊張のあまり写真を撮り忘れてしまった。
とても、惜しいことをした……。
(せっかくだから、頼もうかな……でも……)
ちらと、氷室さんを見る。
(私が1杯分飲む時間まで、この人の時間を拘束するのは申し訳ない)
諦めようとしたが、ふと気になった。
氷室さんはまだ、じっとメニューを見ている。
「どうしました?」
「え?」
「ずっと、メニューを見ていらっしゃるから……」
「……何でもないです」
(何でもないのに、あんなにメニューを凝視するのか……?)
私がもしメニューを凝視してしまうとしたら?
それは、そのメニューの商品が気になって仕方がない時。
(まさか……いくらなんでも、私と氷室さんが同じ思考とは、限らないだろう……)
「森山さん、最後ドリンク頼みますか?」
氷室さんの方から、提案をしてくれた。
「はい!ぜひ!クリームソーダが飲みたいと思っていたんです」
「そうですか。では頼みましょう」
「氷室さんは、何飲みますか?」
「俺は……ブラックで……」
(コーヒーのメニュー、見てないのに……?)
氷室さんは、ずっとクリームソーダのページばかりを見ていた。
本当は、クリームソーダを頼みたいのではないだろうか……。
私はお節介にも、そう考えてしまった。
「クリームソーダじゃなくて良いんですか?」
と、聞いてしまうのが、1番簡単かもしれない。
だけど……。
「あの、氷室さん。実はお願いが……」
「お願い?」
「実は私、グラフィックとかWEBのデザイナーで、SNS用写真加工の勉強してるんですけど……」
これは本当。
嘘に本物を混ぜれば、限りなく本当になる。
「このクリームソーダ2つある様子、写真撮りたいんですよ」
これは、半分は嘘。
2種類並べると綺麗だろうな、と思うけれど無理に頼まなくてもいい。
「でも、私さすがに2つは飲めないかなと……」
これは、嘘。
普通に飲み切れると思う。
「よければ1つ、貰ってくれませんか?」