40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで

ケビンさんは、私にハンドタオルを差し出した。
ハンカチよりもずっと、私にはお似合いだと思った。

「君は……イツキにワガママを言ったことはあるか？」
「ワガママ……ですか？」
「そうだ」

そもそも、彼に対してワガママなんか……誰が言えるのだろうと、本気で思った。

「そうか……君は……自分の気持ちを素直に出すことが、とても苦手なようだね。イツキが悩むのも、仕方がないのかもしれないな」
「へっ！？」

（樹さんが……な……悩む！？私なんかのことで！？）

「ど、どういうことですか……？」
「彼女の心が分からない。イツキは私にそんなことを言っていたよ」
「私の心なんて……樹さんへの感謝でいっぱいで……」
「それだよ」
「え？」

ケビンさんは、力強い目で私を見ながら、こう言った。

「イツキは、他の誰でもない……君に、関心を持って欲しいと思っているんだ」