40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで
「私は、イツキにマナをくれたこと……感謝している。もちろん、イツキには知らせるつもりはなかった。結果的には知られてしまったが……」

私は、何も言えなかった。
言うべきではないと、思ったから。

「それからイツキは真摯に、マナと向き合ってくれた。彼には……私たちを拒絶できる権利があったと言うのに」
「樹さんは……とても優しい人ですから」
「ユーカさん?」
「優しくて、温かくて……まっすぐな人だから、マナちゃんを拒絶なんてできるはずないですよ」
「そうか……ちゃんとイツキを理解してくれてるんだな」
「理解してるかどうかは……分かりませんが……」
「それならば、重ねてお願いするよ」
「お願い、ですか……?」
「どうか……君の本当の気持ちを、素直にイツキにぶつけて欲しい」

(急にそんなことを言われても、どうしたらいいか分からない)

そう考えてしまったことが、ケビンさんに伝わってしまったのだろう。

「すまない。……ついお節介を焼いてしまった」

と、謝られてしまった。

「いえ……」
「時差も辛いだろう。ゆっくり休みなさい、イツキには、私から言っておくから」
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