40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで
樹さんは、鳩が豆鉄砲をくらったかのような表情になっていたが、数秒後

「急に何を……!?」

と言いながら、顔を赤くした。
ここでいつもの私なら

「あ、すみません、迷惑でしたよね」

と謝ったところだった。
でも今日は、そうしないように頑張ってみた。
そして、こう言うことを選んだ。

「私が、ただ樹さんの側にいたいと、思ったんです」

これは、私が樹さんに言われて、本気で驚いたこと。
私は、これまで努力をしなければ、誰かの側にいることすら許されなかった。
でも彼は違う。
ただ、ありのままの私に、側にいてほしいと言った。
嬉しかったのに、あの時は信じられなかった。

でも……今ちゃんと分かった。
樹さんは、本当にそう思ってくれているのだと。
ようやく、自信を持てた。
私が、そう言って良いのだと。
彼を、選んで良いのだと。

「優花……!」

樹さんは私を抱きしめてきた。
力強く。
そして、耳元で囁いてくれた。

「結婚して」

私は、頷く代わりに

「私も、樹さんと結婚したいです」

と、きちんと声に出した。
その時、周囲から拍手が沸き起こった。
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