40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで
俺が彼女を連れて行ったのは、少し変わったかき氷が有名だという喫茶店。
ちょうど1週間前に、休憩中、偶然つけたテレビのニュースで特集されていた。
飾りつけや味付けが少し変わったかき氷が話題らしいことが、アナウンサーの解説で分かった。
ただ、俺が気になったのは、ついでで紹介されていたクリームソーダ。

(これ……好きそうだな……)

綺麗な海の色をしたソーダ水の上に浮かぶ、くまとパンダの顔に作られたアイスクリームが乗っている、子供や女性がとても喜びそうなクリームソーダ。

元々1人でカフェに行く事は、休日の朝に読書を嗜むためによくしていた俺。
そろそろ新しいカフェを開拓したいと漠然と思っていたので、丁度良いと思った。

そして彼女はと言えば。
お店に一緒に入る時は

(一体何にそこまで怯えるんだろう……)

と聞きたくなる程、周囲を見回してばかりいた。
けれど、互いに注文をしたものを食べている内に、少し打ち解けてくれたのか、ほんのりと笑顔を見せてくれるようにはなった。

(もっと彼女と、近づきたい)

そう思ったきっかけは、あのクリームソーダ。
できれば、これの写真が欲しい。
でも……これを彼女の目の前で注文したら、彼女はどう思うのだろうと、怯んでしまっていた時だった。
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