40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで
が、その日から。
平日会えない時は樹さんからは

「ちゃんと食事をとっているか」

と確認の連絡が、1日3回入るようになった。
会っている時に至っては、私が食べ物をちゃんと食べるかを監視してくる。

(好きな人には、少しでもいい姿を見せたい)

そんな私の、ちょっとは取り戻せたなけなしの乙女心が、好きな人=樹さんによって、ことごとく邪魔されてしまう。
幸い、平日の確認はせいぜい文字だけ。
最初は罪悪感もあったが……本当は食べてないのに

「食べましたよー」

とごまかして、平日だけがっつりダイエットをし、土日に備えるという作戦に切り替えた。
その結果、樹さんといる土日にガッツリ食べたとしても、どうにか少しずつ体重を落とすことができた。

そのおかげで、樹さんからカフェデート以外を提案された時に、自信を持って

「行きます!」

と言うことができたし、そのために1サイズ小さい新しい服を買えたことが何より嬉しかった。

例え、仕事中頭がぼーっとして仕事に集中できなくなったとしても。
例え、ウォーキング中に、めまいで何度か倒れそうになったとしても。
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