宝物 番外編付き
サヤマへ移動の5日前の社内。

私と蓮さんにとっては結納の前日だったが…社内では、辞令を張り出すのではなく片山の人事部長とサヤマの人事部長、
そして、片山の社長兼 サヤマの専務である城戸さんが、部署を回り1人1人に辞令書を渡した。

営業部では、山本さんと、蓮さんは退職扱いだった。
営業社員は主任が退職と聞き、動揺していた。
社長たちがいなくなってから、みんなが主任を取り囲み部長はびっくりしながら

「真山君。私は何も、聞いてないが…」

「申し訳ございません。」

「次が決まってるのかな?」

「はい。縁故関係で…決まっています。」

「そうかあ…残念だな。」

「本当に申し訳ございません。」

滝本と菊池もびっくりしながら
「主任! マジですか?」

「ああ、」

「もしかして、彼女さんと結婚して婿養子で社長とか?」と滝本がニヤつきながら訊ねると

「ハハハ。滝本の想像力はスゴイなぁ〜でも、彼女と結婚はすると思う。」

「マジっすか? 彼女さんの話しなんか今まで出てなかったじゃあないですか!」と菊池は驚きながら訊ねる。

「ああつい最近、付き合ったばっかりだからなぁ」

それを聞いていた営業事務の木下が蓮の腕を掴み、
「主任! 結婚するって本当ですか!」

「うん。昨日も婚約指輪と結婚指輪もお店に取りに行ってきたし!ニコニコ
木下さんもサヤマに行っても頑張ってね! お世話になりました。」

「はい……」


山本は、内心"ざまあーみろ!"と思った。

全社員に辞令書が渡り、週明けは、引っ越しの片付けのみで水曜日からサヤマへの出勤となる。
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