宝物 番外編付き
蓮の思い
「蓮。明日は栗原と話すチャンスがあると良いな! お前はおじさん達かお姉さまたちに囲まれるから、無理かな〜ハハハ! ギャハハ!」
「うっせ〜、マジでウザイわ」
蓮は、初めてくるみを見た時の事を思い出した。
村田さんが亡くなって、あれから7年?8年?
早いなぁ。
栗原さんは高校生だったもんなぁ〜
俺も大学生だったし……
実は蓮は、くるみの祖父の村田専務とは子供の頃からの知り合いだった。
蓮が偽名で片山文具に入社したのは、修行の為だ。
蓮は、佐山 蓮が本名で片山文具の親会社であるサヤマの創業者の孫であり、社長の息子である。
来月 サヤマに戻れば副社長になる予定だ。
会長の爺ちゃんと社長である父親からの命令だ。
蓮は、くるみに出会うまで遊び人だったが、くるみが社会人になったら婚約者になるように会長に相談していた。
会長の爺ちゃんは、
「村田くんのお孫さんか?
確か…ご両親が事故で亡くされた子だったなぁ…今は、何をしてるんだ?」
「高校生なんだよ〜。
どんな進路かもわからないんだわ〜」
「じゃあ、蓮の為に爺ちゃんが一肌ぬぎますか!」
爺ちゃんは、村田さんの命日に線香をあげに行きそれとなく、くるみの進路をさぐり片山文具に面接すると聞いた時は人事部に一声かけたらしい。
「蓮、爺ちゃんがここまでしてお膳立てしたんだから、後はお前が頑張れよ」
「ありがとう!爺ちゃん! 何とか頑張るわ」
………そう、蓮はくるみに一目惚れしたのだ。