宝物 番外編付き

「くるみ…。　交通事故だったんだ。」

くるみは頷く…首も痛い。　手が痛い……
布団を少しずらしたら、左手はギブスをしていた。
痛みで顔が歪む。

「痛むのか？　手？　どこ？」

「手が痛い…」

「じゃあ、お医者さんに痛み止めも点滴に入れてもらおうな。」

またナースコールで、手が痛い事を告げた蓮さん。

看護師さんが、先生からの指示で、痛み止めを点滴に入れた。

「しばらくしたら、効いてきますからね。」と看護師さんに言われ

「ありがとうございます」と丁寧に蓮が頭を下げた。

「ありがとう…ございます…」

看護師さんが出て行ってから蓮さんが、言いにくそうにしながら…大きく深呼吸をして
「くるみ、　
くるみは事故の後病院に運ばれてさ。
くるみも車の端のところにぶつかって、はねられたんだ。
ドアミラーに腕が当たったみたいで、骨折した。
お婆ちゃんは… ふぅ〜。

お婆ちゃんは、車にまともに跳ね飛ばされて…頭部と内臓の……ダメージが…
病院で緊急手術したけど、途中で…
昨日…亡くなられた…」

「イヤー！！　ヤダ！！　ウソだ！！
そんなの信じない！！　ねえウソでしょう！ねぇ〜、蓮さん。
お婆ちゃん！！　おばあちゃん！
わぁ〜わぁ〜！！　ウソだ！　イヤだ！
お婆ちゃん！」

泣いて暴れるくるみを蓮が抱きしめる。
蓮も涙を流しながらくるみを受け止めている。

「くるみ。　くるみ〜 ゔ〜」

「蓮…さん… ゔ〜。ゔ〜わぁ〜んんん。」

2人はずぅーと抱き合いながら、泣いていた。

病室の扉から和子がその様子を見て声を殺して泣いていた。

和子は、電話ブースから携帯で慶一郎にくるみが目覚めた事、お婆ちゃんが亡くなった事を、蓮がくるみちゃんに告げたとメールした。