宝物 番外編付き
コンコン♪
「どうぞ。」

「お邪魔します! 五月ちゃん……」

五月は、まだ顔や体に傷の跡がたくさん残っていた。
私は思わず、五月ちゃんに抱きついて泣いた。

五月ちゃんもわんわんと大声を上げて泣いた……

「五月ちゃん、傷はキレイになるんでしょ?」

「う…ん。今よりは良くなるけど、深く傷したところは少し跡が残るみたい。
くるみは?」

「私はお婆ちゃんが咄嗟に突き飛ばしてくれたんだけど、腕がドアミラーに当たって
骨折してね、4日前にやっとギブスが取れてリハビリする予定。
顔のすり傷はほとんどわからなくなったかな?」

「お婆ちゃんは…」

「うん…私が意識不明のウチに手術中に亡くなったんだって。
蓮さんの話だと頭と内臓の損傷が酷かったみたい。

五月ちゃん、あの車はお店にも突っ込んだって聞いたんだけど、お店の人は? 大丈夫だった?」

「くるみ……竜太が…亡くなったの」

「え! 竜太さんが……」
ポロポロと涙が出てきた

「竜太もさ〜、くるみのお婆ちゃんと同じで私を突き飛ばしたんだよあの時…
そうしたら…車が竜太を壁に激しく打ち付けて止まったの…

竜太は私の方を見て、にこって笑って…
ガクッとなったの…

私は、その後 意識を失って気付いたら病院で……全身包帯を巻かれて…
家族や看護師さんに聞きたいのに、酸素マスクで喋れないし、全身ぐるぐる巻きで打撲と切り傷で痛みが酷かったんだ。

マスクが取れて聞いたら…
亡くなったって…

私を助け無ければ竜太は死ななかったのかな?とか考えてたら夜は寝られないし、
あの瞬間がフラッシュバックして、パニックになるの…」
< 256 / 435 >

この作品をシェア

pagetop