宝物 番外編付き
源太郎の次男で大平不動産の常務は、昭和銀行の退職者で内情に詳しいらしく、
最近、メインバンクを昭和銀行から平成銀行に移行しているらしい。

「ゲンちゃんの情報なら確かだな!
慶一郎、融資の借り換えをするようにしよう。」

「このままだと、谷口を使ってジワジワと乗っ取るかもしれないもんな!
みんな揃ったら、極秘で作戦練るぞ!」

「みなさん、まずはおにぎりを食べましょう」

「蓮、くるみちゃんは手紙だけしか置いてなかったの?」

「いいや…、婚約指輪と、通帳と印鑑。
そして、このスケッチブック…」


「スケッチブック? 見せてくれ」

みんなで開いたスケッチブックを見た。

缶詰のラベル……
みわと和子は、ぽろぽろ泣き出した。

「骨折してギブスが取れたばかりなのに蓮を応援して… くるみちゃん」

「こんな、心優しい子が辛い思いをするなんて」と源太郎の妻の光子も怒りがこみあげていた。

「自分の遺産を差し出してまで、
サヤマを思ってくれる良い子を……」と源太郎。

「まとめて始末してやる。」と元総長のスゴみをまとった慶一郎。
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