宝物 番外編付き
「ちょっと〜、さっき話してた主任さんの話しきかせてよ。」
「うん。あのね〜 真山主任は〜………
……
……
で、 真山じゃあなくて佐山 蓮さんで〜
ウチのお爺ちゃんが勤めてたサヤマの御曹司? になるのかなぁ?……」
「………、7年の片思い……かぁ。
くるみの会社も来月からサヤマになって、
本社に勤務……
くるみ! その人なら大丈夫だと思う!
専門学校の時の彼氏より断然良いよ!その人。」
「そう思う? 大丈夫かなぁ。」
「もし、真剣な付き合いを考えてないなら
『結婚を前提に』なんて言わないよ?
サヤマの本社へ行く前のこの時期に告白したのはサヤマの御曹司の自分ではなく、1人の男性としてみて欲しかったのかもよ?」
「……なる…ほど〜…… 五月ちゃんに頭の中を整理してもらって、スッキリした!
ありがとう。
私をこんなに好きになってくれる男性なら、大丈夫だよね! 結婚を前提にお付き合いする!」
「でもさ〜、サヤマの御曹司……
偽名でいるくらいだから、会社の人は知らないんだよね〜
それならさ、正式な婚約するまでは周りには内緒が良いかもよ〜
相手と相談してみたら?」
「うん。そうだね。
サヤマの社員さん達の中には知ってる人が 多いかも知れないもんね。」
「うん。 あぁ〜 くるみが婚約かぁ〜
寂しい気分になるな…」
「え?
五月ちゃんには竜太〈りゅうた〉さんがいるじゃん!」
「だってさ、結婚してくれるかもわかんないし…
捨てられるかもしれないもん…」
「確かに竜太さんは カッコイイしモテるけど五月ちゃんには誠実だし、大丈夫だよ〜」
「そうだね。まだ私たちは23歳だもんね!」
「ふふふ。 そうそう!社会人としてもこれからだよ〜」
「うん。ありがとう」
「私の方こそ、ありがとう。」
2人は顔を見合わせて微笑んだ。
「私たちも 寝ようか!」
「うん。」
部屋の電気を消してもベッドのくるみと床に敷いた布団の五月は、おしゃべりしながらいつの間にか2人とも寝てしまった。