地下一階の小宇宙〜店主(仮)と厄介な人達
ーーー はぁ〜、疲れた…
駅の改札を出ると、もうすっかり日は落ちていて、ふと、見えるはずもない星を住宅街の薄明るい夜空に探した。
朝はグーグルマップ片手に汗だくで競歩で歩いたアンカサまでの道のりを、帰りは創太郎に教えてもらった、
"商店街を抜けて駅に行くルート"
でゆっくりと町の景色を観察しながら帰った。
"確認しとけ"と言われていた、アンカサが使ってる珈琲豆を焙煎している豆屋も途中見つけたし、朝の宣言通り、自転車もその商店街で購入した。
しっかり領収書ももらい、"日野原駅"の自転車置き場に置いて、明日の通勤の身の安全が確保された事に満足して電車に乗った。
「疲れたー!!」
帰宅して真っ直ぐベッドへダイブして、布団の柔らかさをまずは堪能する。
ただでさえ同じ空間にいるだけで疲れる創太郎と、一日一緒に慣れない作業に集中したのだ。
立ちっぱなしだし、"初めてのお客さん" にも緊張して、思ったより心身共に疲れていた。
「お腹すいた…」
珈琲のテイスティングのし過ぎで、朝ごはんを食べた以来ほとんど何も口にしてなかったが、さすがに胃もたれを通り越してお腹ペコペコだ。
日野原の商店街でゲットしたコロッケとお弁当を一人、小さな折り畳みのローテーブルで食べる。
「お〜いしいぃぃ!…」
久し振りに心から美味しいと思えた夕食だった。