地下一階の小宇宙〜店主(仮)と厄介な人達
早歩きでエントランスの自動ドアへ向かう。
ゆっくりと開くガラス扉の間から、屋外のぬるい風を顔に受けた。
何だか足元がそわそわして、早くマウンテンバイクに乗って走りたかった。
人のいない病院からの一本道を、しっかりとペダルを踏み込んでスピードを上げる。
緩いカーブの終わり頃、トートバッグを肩にかけ、片手にずっしりと重そうな紙袋を下げて歩く、あの "よしの" と呼ばたれた喫茶店の女の後ろ姿が見えた。
"そのさん"の大きなかばんを降ろしたと思ったら、今度は "紙袋" だ。
相当重いのか、既に疲れて握力が無くなったのか、
袋を持つ手を替えたり、手を振ってみたり、そのさんと歩いている時よりも歩みが遅い。
ーーーなんなんだよあいつ…
声をかける義理もなければ、掛けたところで一体何になるんだ、という気もするし、
それさえもただ迷ってる事自体に理由を当てはめているだけなのかも知れない。
ーーー めんどくせ…
あれこれ考えてしまう事が面倒になってきて、そのまま横を通り過ぎようと、緩めていたスピードをまた上げる。
早いところ追い抜かしてしまおうと、反対車線側からその姿を横切った直後、盛大に何かをばら撒く音がした。
「 わっ!! 」
反射的にブレーキをかけてしまった海星が、その音と声の方を振り返る。
ゆっくりと開くガラス扉の間から、屋外のぬるい風を顔に受けた。
何だか足元がそわそわして、早くマウンテンバイクに乗って走りたかった。
人のいない病院からの一本道を、しっかりとペダルを踏み込んでスピードを上げる。
緩いカーブの終わり頃、トートバッグを肩にかけ、片手にずっしりと重そうな紙袋を下げて歩く、あの "よしの" と呼ばたれた喫茶店の女の後ろ姿が見えた。
"そのさん"の大きなかばんを降ろしたと思ったら、今度は "紙袋" だ。
相当重いのか、既に疲れて握力が無くなったのか、
袋を持つ手を替えたり、手を振ってみたり、そのさんと歩いている時よりも歩みが遅い。
ーーーなんなんだよあいつ…
声をかける義理もなければ、掛けたところで一体何になるんだ、という気もするし、
それさえもただ迷ってる事自体に理由を当てはめているだけなのかも知れない。
ーーー めんどくせ…
あれこれ考えてしまう事が面倒になってきて、そのまま横を通り過ぎようと、緩めていたスピードをまた上げる。
早いところ追い抜かしてしまおうと、反対車線側からその姿を横切った直後、盛大に何かをばら撒く音がした。
「 わっ!! 」
反射的にブレーキをかけてしまった海星が、その音と声の方を振り返る。