地下一階の小宇宙〜店主(仮)と厄介な人達
【第9章】そのドアを開ける者
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『大丈夫かなぁ… ちょっとやり過ぎだったんじゃないかな…』
こんな言葉を吐くために電話してきたのだろうか。
最近ますます気の弱さに磨きがかかっている。
着信の名前を見ただけで無視する事も増えてきた。
ウザいとさえ思う。
「何言ってんの?!今更。
男のくせに弱気なこと言わないで!」
『でも… よく見たらバレるかもしれないし…
もしも警察とかに言われたら…!』
「っうるさいな!!
黙ってればバレるわけ無いでしょ?!
そんなことよりあんたは他に気を付けなきゃいけない事あるんじゃないの… じゃあね。」
『 …っえ… 』
"ピッ"
これ以上話してもイライラするだけだ。
何か言いたそうな声の途中で通話を終わらせた。
ーーーあの頃はあんなに欲しかったのに…。
手に入れてみたら全く期待はずれだったわ…
塗りかけのマニキュアを再開しながら、
そろそろこの男と上手く切る方法を考えていた。
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