地下一階の小宇宙〜店主(仮)と厄介な人達
佳乃はいつも通り朝8時に家を出た。
9時には店に着いて、10時に店を開けている。
今日も同じルーティンで電車に乗り、吊り革に掴まった。
会社が倒産して、創太郎が現れて、あれよあれよと言う間に今度はまた一人残された。
そうやってアンカサで一月以上を過ごして来たが、意外と楽しんでる自分がいて、今までの仕事よりもやり甲斐と充実を感じている。
一人でマイペースにやっていける事も、メニューや珈琲など、歩みは遅く時間はかかるがじっくり研究出来る事など、性に合っているのだと思う。
それもこれも、優しく見守ってくれる常連さんやお客さん達のおかげだ。
いきなり創太郎が消えた時はさすがにパニックにもなったし、心はささくれたが…
あの時と言えば、やはり海星との出逢いだ。
最悪な初対面であったが、あの時海星に言われた、
" お前だってまだなんの責任も果たしてないだろ "
この言葉は、一瞬で自分が今立たされている場所を示された様な気がした。
前も後ろもグチャグチャで見えなくなっていた時に、自分が通って来た道と、この先進もうと思っていた道が照らさた様な気がしたのだ。
随分年下の海星になんて事を言ったのだと、思い出す度サーっと顔が青くなる。
ーーー7歳年下?… いや…8歳?!
え、コワっ!
海星の、常に佳乃より上から目線な態度や、生意気な口振り、何度か助けられている事もあってか、全く年下感がないが、実はまだ高校生なのだ。
身長も自分より20cmは高くて、いつも見下ろされているので全く子供の要素を感じられない。
ーーー高3だもんなぁ、もう子供とは言えないか…
次に会った時にはもっと年上の威厳というものを示さなければ!ふははは…
そんなより一層子供じみたことを考えていると、ふと先日カレーを食べていてた時の海星の顔が浮かんだ。
カウンターに座り目を伏せた時のまつ毛が長くて綺麗で、一瞬見とれてしまった。
ーーーそういえば、あの子ほんとにきれいな顔してるのよね…
普段は態度が横綱級なのであまり気にしてなかったが、唯一カウンターに座って佳乃が見下ろせる立場になった時だけは表情がよく見える。
その時は改めて、 あぁ、美しい人間っているもんなんだなぁ、などと思ったりするのだ。
そんな事を考えていたら、あっという間に日野原駅に到着した。
ぞろぞろと降りていく人の流れに乗って佳乃も出口へと足を踏み出した。
そんな様子をぽーっと目で追っている人達がいる事には、自分に無頓着な佳乃は気付きもしていない。
9時には店に着いて、10時に店を開けている。
今日も同じルーティンで電車に乗り、吊り革に掴まった。
会社が倒産して、創太郎が現れて、あれよあれよと言う間に今度はまた一人残された。
そうやってアンカサで一月以上を過ごして来たが、意外と楽しんでる自分がいて、今までの仕事よりもやり甲斐と充実を感じている。
一人でマイペースにやっていける事も、メニューや珈琲など、歩みは遅く時間はかかるがじっくり研究出来る事など、性に合っているのだと思う。
それもこれも、優しく見守ってくれる常連さんやお客さん達のおかげだ。
いきなり創太郎が消えた時はさすがにパニックにもなったし、心はささくれたが…
あの時と言えば、やはり海星との出逢いだ。
最悪な初対面であったが、あの時海星に言われた、
" お前だってまだなんの責任も果たしてないだろ "
この言葉は、一瞬で自分が今立たされている場所を示された様な気がした。
前も後ろもグチャグチャで見えなくなっていた時に、自分が通って来た道と、この先進もうと思っていた道が照らさた様な気がしたのだ。
随分年下の海星になんて事を言ったのだと、思い出す度サーっと顔が青くなる。
ーーー7歳年下?… いや…8歳?!
え、コワっ!
海星の、常に佳乃より上から目線な態度や、生意気な口振り、何度か助けられている事もあってか、全く年下感がないが、実はまだ高校生なのだ。
身長も自分より20cmは高くて、いつも見下ろされているので全く子供の要素を感じられない。
ーーー高3だもんなぁ、もう子供とは言えないか…
次に会った時にはもっと年上の威厳というものを示さなければ!ふははは…
そんなより一層子供じみたことを考えていると、ふと先日カレーを食べていてた時の海星の顔が浮かんだ。
カウンターに座り目を伏せた時のまつ毛が長くて綺麗で、一瞬見とれてしまった。
ーーーそういえば、あの子ほんとにきれいな顔してるのよね…
普段は態度が横綱級なのであまり気にしてなかったが、唯一カウンターに座って佳乃が見下ろせる立場になった時だけは表情がよく見える。
その時は改めて、 あぁ、美しい人間っているもんなんだなぁ、などと思ったりするのだ。
そんな事を考えていたら、あっという間に日野原駅に到着した。
ぞろぞろと降りていく人の流れに乗って佳乃も出口へと足を踏み出した。
そんな様子をぽーっと目で追っている人達がいる事には、自分に無頓着な佳乃は気付きもしていない。