地下一階の小宇宙〜店主(仮)と厄介な人達
しばらくすると噂で、海星が親の店を手伝っていると聞いて、ミツルは周りが驚くほどに腹を立てた。



こんなに自分を振り回しておいて、結局 "良い子" に成り下がるなんて心底がっかりしたのだ。


途端に絶望感は憎しみに代わり、どうにかして"前途明るい海星の良い子な生活" をぶち壊したくなった。



そんな時、3年に進級してから初めて海星がたまり場に顔を出した。

ミツルは、また戻ってきてくれたのか、とにわかに浮足立ったが、結局滞在時間は2、3分程ですぐに出て行った。


それもこれも無駄に海星にベタベタ擦り寄っていった馬鹿な女のせいだと、その女を二度とこの近辺に近付けないくらいに痛めつけて放り出しておいた。



せっかく海星がミツルの元に戻って来るチャンスだったのに、邪魔されたのだから当然の報いだと思っていたし、一度もミツルに関心を寄せなかった海星にも腹がたった。


傍から見れば、全てにおいて的はずれな間違った解釈で生きているミツルだが、本人の中ではそれが全てであった。


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