悪役令嬢ですが、なぜか婚約者に溺愛されていて断罪されません!
プロローグ
これでもかと言うくらいに着飾ったわたくしは、今日の主役。
黒地のレースをたっぷり使って、腰からふんわり広がるドレス。
胸元には薄い紫と水色のリボンで作られた花が散りばめられている。
色素の薄い水色のストレート髪は夜会巻きにされ、頭に固定されていた。
そのせいで、元々のつり目が更に上がったように感じる。
だけど、この豪華さで誰が主役なのかひと目でわかるのだから悪くは思わない。
本日、王宮でわたくしの誕生日パーティーが行われるのだ。王宮で行う理由は簡単。わたくしが王太子であるトーマ・ハルディオ様の婚約者だから――。
通常のパーティーは、婚約者にエスコートされて会場に入るけれど、今回はわたくしが主役なので1番最後に登場して欲しいと言われている。
そのため、控え室からひとりで会場に向かった。
「ウィルド侯爵家のレティシア様がいらっしゃいました」
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