悪役令嬢ですが、なぜか婚約者に溺愛されていて断罪されません!
「レティシア様、申し訳ありませんでした……。トーマ様、わたくしは本日は失礼させていただきますね」
サラ様は、チラッとわたくしを見たけれどそれだけ言ってから帰っていった。
空気を読んだのだろうけれど、この状況でトーマ様とふたりきりになるのは正直気まずい。
「トーマ様、わたくしを呼んでおいてサラ様と仲良くしていたのですね」
自分でもびっくりするくらい冷たい声がでる。
感情のコントロールが出来ない。なのに――。
「ねぇ、レティ?もしかして、私にヤキモチを妬いてくれているの?」
トーマ様は弾んだような声でそう言った。
わたくしがヤキモチ……?まさか、そんなことはない。
「ごめんね、レティシア。彼女からどうしても話したいことがあると言われてね……」
きっと、サラ様は告白でもしていたのだろう。
リオの記憶でもそんなシーンがあった気がする。