悪役令嬢ですが、なぜか婚約者に溺愛されていて断罪されません!
恥ずかしくなったわたくしは、はしたないと思いながらもぷいっと顔を背けた。
たぶん、今のわたくしはとても変な顔をしているはずだ。
こんな顔、トーマ様に見られたくない。
こんな細かいことを言う婚約者なんて、トーマ様はきっと嫌に思うだろう。
もう既に思っているかもしれないけれど、わたくしは言わずには居られなかった。
「レティシア?キミはいつもとても優しいね。可愛すぎて困るほどに……。でも今みたいに、私にもっと色々なレティを見せて欲しいな?」
「は……えっ……?」
今のはどういう意味?
優しいと思われる要素は一体どこにあったのだろうか。
考えてみても、そんな要素どこにも無かったと思う。
「ヤキモチを焼くレティはとっても可愛いね。いつも完璧で素敵だけど、今みたいにたまには楽にしてもいいんだよ?――もちろん、私の前でだけ……ね?」
だから、それはどういう意味なの!?
それに最後の一言。