悪役令嬢ですが、なぜか婚約者に溺愛されていて断罪されません!
「あの時のサラ嬢はね、キミにお礼を言っていたのだよ。レティのことを尊敬していると……でも、直接レティに声をかけてしまうと、迷惑になってしまうから、婚約者である私から言って欲しいと言われてね」
まさか、あの時言われたことは本当の事だったの?
誤魔化すための嘘だと思っていたのに。
「で、でも……」
「レティ?キミは……私と結婚はしたくない?」
そんなの、聞かれなくても本当はしたいに決まっている。
大好きな初恋の相手で一番の推し。
たとえ、わたくしが悪役令嬢でもそれは変わることの無い事実。
「そんなの……し、したいに決まっています」
恥ずかしさを隠せず、俯きながらそう言い切る。
いつか断罪されることになったとしても、その時になったらまた考えればいい。
わたくしは今のトーマ様を信じよう。
「あぁ、まったくもう……可愛いなぁ。レティシア、それ以上私を煽らないでね」