私の推しが推しじゃなくなった件
それから偶然にも仕事が忙しくなり、満里奈が誠のことを考える時間も少なくなっていたある日のこと。


「ねぇ、満里奈。あれって大宮じゃない?」


久しぶりの休みに美和と買い物に出掛けていたショッピングモールでたまたま誠を見かけた。


しかも


『女の人といるね。』

「ほんとだ…もしかして…彼女?」

『どうだろう。』


1ヶ月前は私にお仕置きとか言ってキスしたくせに。

もう彼女できたんだ。

…私はいつまで引きずってたらいいんだろう…?


そんなことを考えたら無意識に涙が出てきた。


「ちょっ!満里奈、とりあえずお店に入りましょ!!」


そう言ってなかば強引にある喫茶店に入った。


「コーヒーとココアで。」


さすが美和。私の好みわかってる。


泣きながらそんなことを考える満里奈。


「それで。そんなに悲しむってことは大宮のことが好きなのね?」


コーヒーとココアが運ばれてきて、一口ココアを飲んだとき、美和がそう聞いてきた。

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