噛み痕にキス
PCの横にころんと転がされた個包装のチョコレート。くれるらしい。
「ありがと。辞めるって言ったし、引き継ぎするし」
「急じゃね」
「まーもう、生きてる意味ないし」
画面から目を離さず、チョコレートの包を開ける。口に放り込む。甘さが舌にとろけて、疲れた頭に補給されていく感じがした。
「んな大袈裟な」
井花は椅子に座って、あたしの横についた。
大袈裟か。
そうなのかもしれない。実際、まだ生きているし。
「引き継ぎちゃんとするまでは生きるから安心しなよ」
「そういう心配してんじゃねーんだわ」