同期に恋してしまったら~友達からはじまる恋ってありますか?~
それで、なんとなくそのまま撮影見てたら、ちょうどそのシーンの撮影を終えたらしい。

水沢がふと、周りを見た。
手を上げてファンたちに挨拶…

で、女たちの恐ろしく黄色い声…

なんだアイツ…人気俳優なのか?

演技も見たけど…
はっきり言ってうまい…
あの仕事のできねー男からは想像つかないくらい…

ふと…水沢が俺に気づいたみたいだった。
それで、ペコリと頭を下げたもんだから…女たちが一斉にこっちを見た。

で…コソコソ俺を見てどよめいてる。

「誰?知ってる?」

「知らない。なんて俳優?」

「あっちもヤバイ。」

って…俳優と間違えられてんのかよ?俺。
いやいや…どう見ても安もんのビジネススーツだろうがよ?

さらに悪いことには…水沢がこっちにやってきた。
女たちはキャーって叫んでるけど、構わず俺の前に来ると、水沢は言った。

「向坂さん。ちょっと付き合ってください。俺、今日はもう上がりなんで。」

そして有無を言わさずグイッと俺を引っ張った。

なんだぁ?
会社でコイツと俺ろくに喋ったこともないぞ。

「ちょ…なに?」

言っても強引に引っ張るので仕方なくそのまま着いていった。


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