同期に恋してしまったら～友達からはじまる恋ってありますか？～

Ⅵ.愛するということ

11.高柳奈桜

「高柳さん？」

ん？

「高柳さんってば！」

「え？あ。加瀬…」

知らないうちにパソコンの前に突っ伏していたわたしは加瀬に腕をグイッと引っ張られて現実に引き戻された。

眠い…

「どうしたんすか？昨日寝てないならもう帰ってくださいよ。体調悪いんすか？」

「いや…昨日寝たんだけどね…」

時計を見るともう７時。
まだやることあるけど…
帰るか…

「体調悪いのかもね…帰るわ。」

「はい。お疲れっす。ちゃんと寝てください。」

「はいはい。言われなくても寝るよ。」

わたしは通勤カバンを持つと立ち上がった。

とたんにクラクラ…貧血みたいになってちょっと椅子の背を掴む…

なんなの…ったく…

それを見て加瀬はますます怪訝な顔…

「早く寝る！わかりましたか？」

「はい。そうします…」


そして、最寄り駅までトボトボと歩きながら考えた。

今週はまた陽輝は大阪出張に出ていたし、金曜日帰ってくるまでは1人だ。

いつもは自分の仕事忙しいからかもしれないけど、あまり…そこまで感じないのに、今日は何故だかものすごく寂しく感じた。