同期に恋してしまったら~友達からはじまる恋ってありますか?~


『今日、美玖さんに会った。』

『え?なんで?』

『東京に店オープンするって言ってたのがね…明日なんだって。で、それがまた会社の近くっていう…』

『は?マジ?会社の近くって…ふうん…』

その日の夜、お風呂から出たわたしがパタパタ明日の用意をしていたら陽輝から電話があった。
陽輝は共栄建設の関西支店の進み具合は順調だと言って、金曜日早めに帰れるから会社寄るわって言った。

わたしは店に招き入れられてわらび餅をご馳走になったことも話した。

『めちゃくちゃおいしかった。さすがだね。京都の老舗。』

『あー。そうらしいけど…俺は甘いのすきじやねーし。』

『そうだね。あ、あの…ね。』

『何?』

陽輝が電話しながらガタガタと何かやってる。

『うわっ。なんだこれ。』

小声で聞こえてくるとこをみるとホテルの中で何やらやってるらしい。

『どうしたの?』

『いや、このコードがさあ。なんかでてんだけど、引っ張ったらちぎれやがった。まて…あーこういうことか…いや大丈夫だ。』

何やらブツブツ言って何か作業してる…

『まあいいや。で?なんだったっけ?』

『え?あー』

中断されてしまうと聞けないもので…
美玖さんに彼女のフリとか…してもらってたの?とか…無理な話だった。

『陽輝、10年も京都いたんだね。』

『え?美玖に聞いたの?』

『うん。』

『小学校高学年で親が転勤なってさ。しばらくいたよ。で、俺が高校の途中から親は東京戻ったから、俺は寮入ったんだ。』

そう…だったんだ。

『まあ美玖には…監督共々世話んなったわ…』

世話になって彼女のフリもしてもらってたんだ…
とは言えず…

『ふうん…そっか…』

『あ、奈桜。なんか部長から電話きた。切るわ。金曜日な。俺ん家来て。じゃ。』

うちは会社用携帯持たされてるからそっちにかかってきてるんだろう…
まあ別に…この時間帯でもかかってくることはある…

陽輝の電話が切れてから、しばらく呆然としていた…

で…何故だか…やっぱりすぐに眠くなってしまうわたしは…すぐにベッドに潜り込んで寝てしまった。



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