同期に恋してしまったら~友達からはじまる恋ってありますか?~
「陽輝…ここ…みんな通るから…見られるじゃん…」

奈桜はそんないたたまれない状態であるにもかかわらず、人の目を気にしてる…

そんなに嫌なのかよ?
俺と付き合ってるっていうことが…
そんなにみんなに知られたくねーのかよ。

奈桜がまわりをチラチラ見てるのを見て…俺はだんだん腹立ってきた。

「どーでもいいだろ?」

「え?」

奈桜が視線を俺に合わせた。

「バレるの…そんな嫌?俺って奈桜にとってそんな価値ねーの?」

もういーやって思った。
俺ががっついてるって奈桜にひかれんのが嫌だったけど…こんなやつれた奈桜見て…放って置けるわけなかった。
ひかれても…いい。

奈桜の身体のほうが大事だ。

「体調悪くたって俺は奈桜に頼ってももらえねーの?」

俺の口調がキツくなる…

「陽…輝…あの…わたし…」

そしたら奈桜がなんなのか…ものすごく言いにくい感じに口籠って…俯いて…
涙をポロポロと流しはじめた。

えっ?
マジで?
どーしたんだよ?

「おいっ?奈桜?」


と…そこに…
呑気な声が飛んできた。


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