同期に恋してしまったら~友達からはじまる恋ってありますか?~
そんな感じで最寄駅に着き改札を出ると、赤提灯がフワフワと目に入る。

「寄ってく?」

向坂が提灯を指差した。

「え?疲れてんでしょ?」

「大丈夫。お前となら気心も知れてるから疲れねーし。逆に疲れ飛ばしたいから付き合え!」

そういうとわたしの肩に手をまわし肩を組むと、強引に引っ張り、赤提灯に入って行った。

ちょ…っと!肩組むとか…無理なんだけど!

突然肩を組まれて、中学生でもないのに緊張するわたし。

向坂はなんとも思ってないんだろうけど…。


そして私たちはカウンター席に座り、日本酒で乾杯した。

「ほら、なんか言うことあるだろ?」

え?
あ…

「おかえり。」
「ただいま。」

お猪口をチョンと合わせる。

「うん。うまい。やっぱ気心のしれた奴がいいわー。」

「だねー。わたしもそうかも。」

向坂といると…今でこそはドキドキするんだけど…すっごく楽なのは昔から…

自分を隠さなくていい。
すべてさらけ出せる。

そういう関係のやつだった…。

やつだったはずなのに…

いつからだろう?
向坂を男として見るようになったのは…。


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