同期に恋してしまったら~友達からはじまる恋ってありますか?~
「ううん。なんでもないよ。わたしの気苦労でした。ほんとに幸せ者だよね。わたし…。」

ふん。だいたい何バラしてんだよ。美玖のヤツ…。


俺が食べ終わって、片づけている間も奈桜はちょっとずつ残りのパスタを食べながら、テレビを見ていた。
そのほうが気がまぎれるだろうと思って俺がつけたのだけど…。

それで、全部片づけ終わって俺が戻ると、ちょうどドラマがかかっていた。

奈桜の横に座ってなにげにテレビ画面をぼーっと見た俺は、そこに映ってるくそ男前な俳優を見て声をあげた。

「あー。水沢!」

「みたいだね。」

奈桜は目を合わさずテレビ画面を見たままパスタを口に運んでいる。

「見るって約束したから見とかないとね。」

「約束?」

そうだった。忘れていた。
コイツ…奈桜にキスしたし、この間奈桜を抱きしめてもいた男だ。

もう奈桜は俺のものになるんだし、このまま曖昧にしておいてもいいのかもしれないって思ったけど…

やっぱりちゃんと聞いておきたかった。

「うん。そう。」

奈桜が相変わらず俺と視線合せないし…
やっぱりなんか…あるのかもしれない…
怖いけど…聞いておきたい。

「なぁ奈桜。水沢と奈桜って何かあった?」

「え?」

奈桜が俺に視線をうつした。

「うーん…」

そしたら奈桜がちょっと上を見て考えるような仕草をした。

「ほんとのこと言うとね。告られそうになって…わたしが阻止した。」

「は?」


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