同期に恋してしまったら~友達からはじまる恋ってありますか?~
「それは…えっと…」

「なに?」

「お父さんにちゃんと許してもらえたってうちに来たもんだから…ってか…下…だよ。」

窓の外を指差す奈桜。

「で。そんときに…ね…えっと…」

「キスされたんだろ?」

言いにくそうにすんなって…
水沢に心あんのかって思っちまうだろ…

「うん…ごめん…不意打ちすきて…防げなかった…」

くそっ…
今思い出してもムカつく…
あんなスマートに…キス。普通、できねーって…

「奈桜から水沢にちゃんと報告してくれたら…許す。俺と結婚するって…」

「うん。わかったよ。」

「ほら。」

スマホを奈桜に渡す。

「え?今?」

奈桜がギョッて目見開いた。

けど、諦めたかのように両手を上げた。

「了解。今するよ。」


で…電話…

『あ…水沢くん?』

『奈桜さん…どうしたの?電話くれるなんて…』

奈桜は気を使ってスピーカーにしてくれた。

『今見てるよ。ドラマ。やっぱり水沢くんは無敵だね。演じてたら神だよ。』

『そう?言ってもらった嬉しいよ。奈桜さんになら特別もっとね。』

水沢の声が嬉しそうに響いた。

『今ね。陽輝と一緒に見てるの。』

『え?』

『水沢くんには言ってなかったけど…わたしたち付き合っててね。』

『……』

水沢が沈黙した。

『もうすぐ結婚する。』

『え?そうなの?』

そしたら予想外に早く水沢の明るい声が聞こえてきた。

『うん。』

『おめでとう。奈桜さんの…幸せな顔…思い浮かぶよ…』

水沢の…演技だと思った。
俳優だから…これくらいなんでもないんだ…


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