同期に恋してしまったら~友達からはじまる恋ってありますか?~
『向坂さんにもよろしく。幸せに…なりなよ。』

最後に言った水沢の言葉尻だけが…ちょっとだけ切なく聞こえた…

水沢…ありがとう…

『がんばりなよ。芸能界で。ずっと見てるからね…』

奈桜はそう言うと電話を置いた。


「ねぇ…陽輝…。ありがと。」

「なにが?」

「わたしを選んでくれて…」

「ははっ…。選んだのは…きっと…コイツだよ。」

俺は奈桜のお腹にそっと手を置いた。

「俺さ…ほんとのこと言うと…」

「え?」

奈桜がちょっとおびえたような顔をした。

え?
やっぱ嫌なの?
いや…けど、ちゃんと言おう。
俺の気持ち…

「奈桜に赤ちゃんができたらいいのにって思ってた。」

「え?」

奈桜が驚いたって顔をした。

「避妊…しなかっただろ?ほんとはずっと…付き合ったときから考えてた。」

「考えてたって?」

「奈桜とずっと一緒にいる未来…」

「え?」

奈桜の目がウルウルとうるみはじめた。


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