同期に恋してしまったら~友達からはじまる恋ってありますか?~
ある日の帰り際のことだ。
もう5月に差し掛かっていて、明日からゴールデンウイーク。
街はなんとなく浮足立っている。

陽輝は共栄建設の最後の打合せに大阪に出張にでていて、今日夜遅くに返ってくる予定だ。

つわりも大分落ち着いてきたし、そろそろわたしのごはん作ってみようかな。
なんとなくでっぱってきたような気もするおなかに手をそえながら、考えていた時だった。

「あ、久しぶりやね。奈桜さん。」

「美玖さん。」

相変わらず、ボブカットでかわいくてアラサーには全く見えない美玖さんがにこりと笑って吉屋の前に立っていた。

美玖さんはあのあと、京都に戻っていて、東京のお店は他の人にまかせていたらしかったけど、今日は東京のお店にたまたま来ていたのだろう。
ゴールデンウィークだからかもしれない。

「結婚したんやて?子どもも産まれるって陽輝が嬉しそうに話してたわ。」

「ええ。おかげさまで。」

陽輝との結婚が決まってから、わたしは会うのははじめてだった。

「幸せそやね。」

「ええ。」

「奈桜さんがうらやまし。」

「え?」

美玖さんはわたしを見てそれから真っ暗な遠い空の上のほうを眺めた。

「わたしなぁ。特別な女なんやと思ってた。陽輝ん中で。」

「……」

相変わらず遠い空を眺めてる…

「おかしいな。京都では無敵やったんやけどな。陽輝のことではだれにも負けんかったのに…」

そしてわたしに視線を移した。

「けど、ただのうぬぼれやったわ。」

そしてちょっと目をつむると、ゆっくりと見開いた。


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