同期に恋してしまったら~友達からはじまる恋ってありますか?~
「悪かったな。奈桜。俺の方が好きすぎた。ほんとはさ。大学一年の時から好きだったんだ。俺は…奈桜のこと幸せにしてやれなかったけど…幸せになれよ。」

そう言ってシンガポールに発つ前日に、わたしの部屋の合鍵を持ってきた。

「わたしは…たぶん、今は仕事が1番なんだ。ごめんね。岳人。」

そう言って握手して…別れた。

なんかやっと…ほんとの自分に戻れた気がした。


岳人が去って、気持ちが晴れ晴れしたわたしは、やっとみんなとも飲みに行く気になって、年明け早々、同期の新年会に久々に参加した。

そして、わたしはそこで向坂が好きだったのだと気づくことになる。

わたしが久々に参加したので、みんなは喜んでくれた。

向坂の横には森野芙美(もりのふみ)という最初から向坂狙いの総務部の同期が陣取っていた。
これぞぶりっこの代名詞のような女子だ。
同期だから表向きは仲良くはしているが、わたしはあまり好きじゃなかった。

向坂は、最初から相手にしてないと思っていたのだけど、その日に限ってはあまり拒むこともなく、結構密着してたりする。

そのうえ大西が

「陽輝さぁ。最近荒れてるんだよなー。」

とわたしの横でボソッと呟いた。

「なんか秋くらいからかなぁ。
飲みに行って、逆ナンされたりしたら、結構なんでもアリな感じでさぁ。
なんかあったんかねー。」

「え?でも向坂って最初からそういうやつだよ。」

「ん。でも会社入ってからは、落ち着いてたんだけどなぁ。まあ大学ん時はひどかったから、もともとの性格に戻っただけかもなー。」


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