同期に恋してしまったら~友達からはじまる恋ってありますか?~
向坂がソファの上でふにゃっと動いた。

「え?俺なに?」

ちょっと意識戻ったか?

「起きたの?」

わたしの声が聞こえたからか、向坂が飛び起きた。

「うゎお!なんだよ高柳!」

「なんだよって…。あんたが起きないからじゃん。」

「え?」

向坂は自分の状況を把握しようとして頭を考え巡らせているらしい。

「もうどうしてくれんのよ。こんな時間から怖くて家帰れないし。」

ちょっとおどけて言ってみたら…

「じゃぁ泊ってけよ。」

その声が真剣で、はっとして向坂を見ると、じっと私を見つめていた。

え?ちょ…っと待って…。

その瞳に吸い込まれそうになる。
このまま吸い込まれてしまったら、楽になるんだろうか?
向坂の前で女になったら…

「そこに客用布団あるからさ。そっち敷いてやるからそこで寝ろよ。」

先に視線をそらしたのは向坂のほうだった。

「う、うん。」

「俺もちょっと疲れすぎてて、おまえ送ってくのしんどいし。今日は泊れ。な…。」

そして、お風呂のお湯をはりにスタスタと風呂場に行ってしまった。

はぁ…びっくり…した。
またあのときみたいに…なるかと思った…。

あのとき向坂と寝てしまったことをあんなになかったことにしようとしたけど、だったら今、わたしはどうしたいのかなんてもうわからなくなってた。

この間裕理に言われたこと…いつまでもこの関係を続けられるわけないって…
それもわかってたし…

いっそのこと、このままここで…

けど…向坂に別に好きな人がいるのを知ってて抱かれてしまうのは…やっぱり嫌だった。


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