同期に恋してしまったら~友達からはじまる恋ってありますか?~
きっかけはささいなこと。

大学でバスケはやめるとケリをつけ、就活することになり、何社か受験したけど、「みさきシステム」という会社で最終面接までこぎつけた。
バスケばっかりしてた俺が突然スーツを着て、就活をしている時点で違和感しか感じない。最終面接なんて思うと、緊張して朝からドキドキだ。
バスケで緊張なんかしたことないのに、就活でこれかよ…と自嘲しつつ、面接会場へ向かった。

面接の待合はこれまた、みんながド緊張して座っているので、こちらまでそれが伝染してくる。
まわりはあえて見ないようにしようと思えば思うほど見てしまうもので、俺の緊張度はピークに達していた。

「次の方、準備してください。」

面接サポーターみたいな若い社員の人が呼びに来る。
俺は次の方に該当しているようだったので、立ちあがり、震える足許を確実に床につくようにゆっくりと歩を進める。

面接室の前あたりまで進むと、突然ドアが開いた。

今面接を終えたやつが出てきたのだ。
女子か?
背の高いやつだな…。

ふと顔を見た。

そしたらその女子が、

「がんばれ!絶対受かるよ!」

とにっこりと笑ったのだ。

その言葉と笑顔があまりに素直すぎて、俺はドキッとすると同時に、力が抜けて、そのあとの面接を自信を持って確実にやりとげ、なんとかみさきシステムへの内定を得たのだった。

内定が出たあとも気になって仕方ないあの笑顔。

アイツのおかげで合格したってのもあるし…

ひとりの女の笑顔にこんなに影響を受けたことなんて今までなかったし…


アイツも合格してることを祈る。
そして、みさきシステムを選択していることを…。
とにかく、もう一回、絶対 会いたい…

そしたら…
絶対口説き落としてやる…


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